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前回までのあらすじ…
タイで謎の女に日向くんばりの強引な話術で説き伏せられた僕たちは、彼女を連れて旅に出ることになりました。
有り得ないな。
しかも、Gは森崎くんばりに彼女の魅力に吹き飛ばされています。
ほんと有り得ないな。
タイで謎の女に日向くんばりの強引な話術で説き伏せられた僕たちは、彼女を連れて旅に出ることになりました。
有り得ないな。
しかも、Gは森崎くんばりに彼女の魅力に吹き飛ばされています。
ほんと有り得ないな。
有り得ないもなにも、起こってしまった以上は仕方がない。
先ほど打ち合わせをした通り、30分後に僕はロビーに向かっていた。
正直なところ、僕はまだ彼女を信用していない。こう言うと器量が狭いように感じられるだろう。しかし、なんだかんだでこの国は金銭関係の軽犯罪が多いのである。
少々ぼられたり小銭をちょろまかされる程度の経験なら、楽しい旅の思い出のひとつになるのかもしれない。だが、あえて明確な危険に飛び込んでまで金銭を提供するほどのことではないだろう。
それに、もしも相手が個人でなかったら事態はさらに重大化する。えてして小粒な犯罪者ほど元締めのもとで徒党を組むものだ。
これからもこのホテルを使う以上はイレギュラーが無いに越したことはない。用心しすぎるくらいで調度いい。
僕はすぐにはロビーに近付かず、遠巻きに眺めた。
ふむ。どうやら僕の心配は杞憂に終わったらしい。
既にGが女と話し込んでいた。
奴はもはや初恋をした乙女。純情路線一直線だ。きっとレイプされるまで目が覚めないだろう。
なんてこった。身内の頭の中をもっと心配するべきだった。
なかばヤケクソで僕もロビー内に飛び込む。
例の女は旅行者用の巨大なバックパックを身に付けている。
まずは一安心。詐欺師はここまで凝った演出はしない。
しかし、まだ油断はできない。さらに彼女について疑問に感じたことを質問をする。
名前、出身、旅の理由、我々に声をかけた理由。すると、いずれも淀みなく速やかに日本語で返ってきた。
どうやら彼女がシロである可能性が高まってきたようだ。
彼女が話した内容はこうである。
この不信極まりない謎の女の名前はまち子(仮名)。
年齢は20歳。出身は兵庫らしい。
始めに話しかけられたときに、日本語がややカタコトだったのは、緊張して標準語を話したからだとか。確かに普通に話しているときは流暢なコテコテの関西弁だ。
それで、肝心の我々に話しかけた理由だが、やや情けないものであった。
彼女が言うには、本来の予定なら友達と2人で1ヶ月かけてタイとカンボジアを旅するつもりだったらしい。
しかし、友達が直前でドタキャン。
それで仕方なく一人でタイまで来たのだが、あまりの心細さに耐えかねて周りの日本人観光客に片っ端から声をかけまくっていたのである。
そして、いかにも無警戒そうな我々に目を付けたというわけだ。
「他の人たちには無視された…」
彼女はそう呟き目を伏せた。
だが、しょうがないだろう。本当に怪しかったからな。
それでもGは世の無常さを嘆きながら、彼女を元気付けている。
世の中にはこういうめでたい奴も必要なのかもしれない。
そして、さらに話を聞いてみるとまだまだ出てくる驚きの新事実。
なんと彼女は昨日タイに到着したばかりのルーキーだ。しかも海外旅行は初めてらしい。
旅人の永遠の友である『地球の歩き方』も「字が多い」というあまりに簡潔かつカッコ悪い理由で、ほとんど目を通していないそうだ。
さっき食堂で話していた「よく分からなくて」とは、まさにそのままの意味だったらしい。要は迷子だ。
ここまで来ると、いいかげんに僕もO野も彼女のこと信用していた。と言うより信用せざるを得ない状況になっていた。
こんなグダグダな詐欺師がいてたまるか。不安で放ってはおけない。
こうして、我々はついに迷子の迷子のまち子(仮名)ちゃんをカオサンに連れて行くことを決心したのである。
Gはノリノリの大はしゃぎである。
「お待たせ~」
先ほどと同じように会話に片がついた直後という最悪のタイミングでO田原と千明がやって来た。
「今日な、このまち子(仮名)ちゃんと一緒に行く事になったから」
「………はい?」
「あの…よろしく」
「あ、よろしく…って、誰?」
「それじゃ行くか」
「おう」
「え?え?」
もう説明しなおすこともアホくさくて面倒くさい。空気で察してくれ。
先ほど打ち合わせをした通り、30分後に僕はロビーに向かっていた。
正直なところ、僕はまだ彼女を信用していない。こう言うと器量が狭いように感じられるだろう。しかし、なんだかんだでこの国は金銭関係の軽犯罪が多いのである。
少々ぼられたり小銭をちょろまかされる程度の経験なら、楽しい旅の思い出のひとつになるのかもしれない。だが、あえて明確な危険に飛び込んでまで金銭を提供するほどのことではないだろう。
それに、もしも相手が個人でなかったら事態はさらに重大化する。えてして小粒な犯罪者ほど元締めのもとで徒党を組むものだ。
これからもこのホテルを使う以上はイレギュラーが無いに越したことはない。用心しすぎるくらいで調度いい。
僕はすぐにはロビーに近付かず、遠巻きに眺めた。
ふむ。どうやら僕の心配は杞憂に終わったらしい。
既にGが女と話し込んでいた。
奴はもはや初恋をした乙女。純情路線一直線だ。きっとレイプされるまで目が覚めないだろう。
なんてこった。身内の頭の中をもっと心配するべきだった。
なかばヤケクソで僕もロビー内に飛び込む。
例の女は旅行者用の巨大なバックパックを身に付けている。
まずは一安心。詐欺師はここまで凝った演出はしない。
しかし、まだ油断はできない。さらに彼女について疑問に感じたことを質問をする。
名前、出身、旅の理由、我々に声をかけた理由。すると、いずれも淀みなく速やかに日本語で返ってきた。
どうやら彼女がシロである可能性が高まってきたようだ。
彼女が話した内容はこうである。
この不信極まりない謎の女の名前はまち子(仮名)。
年齢は20歳。出身は兵庫らしい。
始めに話しかけられたときに、日本語がややカタコトだったのは、緊張して標準語を話したからだとか。確かに普通に話しているときは流暢なコテコテの関西弁だ。
それで、肝心の我々に話しかけた理由だが、やや情けないものであった。
彼女が言うには、本来の予定なら友達と2人で1ヶ月かけてタイとカンボジアを旅するつもりだったらしい。
しかし、友達が直前でドタキャン。
それで仕方なく一人でタイまで来たのだが、あまりの心細さに耐えかねて周りの日本人観光客に片っ端から声をかけまくっていたのである。
そして、いかにも無警戒そうな我々に目を付けたというわけだ。
「他の人たちには無視された…」
彼女はそう呟き目を伏せた。
だが、しょうがないだろう。本当に怪しかったからな。
それでもGは世の無常さを嘆きながら、彼女を元気付けている。
世の中にはこういうめでたい奴も必要なのかもしれない。
そして、さらに話を聞いてみるとまだまだ出てくる驚きの新事実。
なんと彼女は昨日タイに到着したばかりのルーキーだ。しかも海外旅行は初めてらしい。
旅人の永遠の友である『地球の歩き方』も「字が多い」というあまりに簡潔かつカッコ悪い理由で、ほとんど目を通していないそうだ。
さっき食堂で話していた「よく分からなくて」とは、まさにそのままの意味だったらしい。要は迷子だ。
ここまで来ると、いいかげんに僕もO野も彼女のこと信用していた。と言うより信用せざるを得ない状況になっていた。
こんなグダグダな詐欺師がいてたまるか。不安で放ってはおけない。
こうして、我々はついに迷子の迷子のまち子(仮名)ちゃんをカオサンに連れて行くことを決心したのである。
Gはノリノリの大はしゃぎである。
「お待たせ~」
先ほどと同じように会話に片がついた直後という最悪のタイミングでO田原と千明がやって来た。
「今日な、このまち子(仮名)ちゃんと一緒に行く事になったから」
「………はい?」
「あの…よろしく」
「あ、よろしく…って、誰?」
「それじゃ行くか」
「おう」
「え?え?」
もう説明しなおすこともアホくさくて面倒くさい。空気で察してくれ。
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