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八月十七日(火)
北海道旅行三日目
北海道旅行三日目
「すっかりグロッキー状態でこんにちは。O野です。3日目で虚無の域に達しました」
阿呆である。
前夜の007バーストの衝撃がもろに体に返ってきてしまった。いまだに耳の中に銃声とむさいオヤジたちの悲鳴
10時ごろに地虫のごとくモソモソと起きだした我々は、精神力を振り絞りチェックアウトを済ませ小樽行きの電車に乗り込んだ。もはや旅行というより通勤のノリに近い。
午前11時。小樽運河に到着。
ここは流石に北海道の中でも最大級の観光地である。坂の多い道沿いには多くの土産物屋が並び、運河の両脇では観光客が思い思いに爽やかな陽光の下で美しい景観を楽しんでいる。
しかし現在の我々にとっては陽光なんてナイフのきらめき以外の何者でもない。とりあえず鋭気を養うために昼食というにはやや速めだが食事を取ることにした。
ウニカニ丼。ベタでごめんなさい。
恐らくこのウニとカニを獲るためにアラスカの海で命を賭けている熱きカナディアンたちの魂が我々の疲れきった体を奮い起こす。
なんだかんだでメシを食ったらいつもどおりのテンションに戻ったので、午後からは小樽の町を歩いて見学することにした。
ということで、小樽の美しい風景を何点か紹介したいと思う。
『お父さん預かります』
これは運河の途中で見かけた看板である。一体どのように預かってくれるのだろうか?果たして預かってくれるのは『お父さん』限定なのだろうか?
そこはかとないいやらしさを感じたのは僕だけであろうか?
港で見かけた船である。
船主はここをベトナムか腐海と勘違いしているようである。
公園内に設置されていた看板。
どうやらこの公園にはスネークもびっくりなトラップの数々が仕掛けられていたようだ。
どうでもいいが、この絵の白い動物は一体何者であろう?
途中のコンビニで売っていた飲料。
製造元であるチェリオのHPでは既に無かったことにされているあたりが印象的。
ろくな見学していないな、我々。
午後5時30分。
小樽の見学を終え、札幌に帰った。
今日のホテルはなんと『エクセルホテル東急』
部屋に入ってみると、昨日までとは比べ物にならない豪華な設備。しかも6名二部屋なら意外と安いのだ。
Gもいい仕事をするではないか!(プランは全て彼が決めた)
洗面台も広くて気持ちがいい。顔でも洗うか
クイ (蛇口をひねった音)
あええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………
なんだ?
蛇口をひねった瞬間、恐竜の断末魔のような音が水とともに蛇口からあふれ出した。
キュ (蛇口を閉じた音)
………
クイ
あええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………
みんな気をつけろ。
エクセルホテルの蛇口はマンドラゴラだ。
あええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………
ちょっと楽しい。
午後7時。夕食を食べにホテルから出る。
話によるとこの近くにうまいジンギスカン屋があるらしい。
案の定ホテルから5分も歩かないうちにその店を見つけた。
店の戸を開ける。
「いらっしゃい」と、座敷席に座って新聞を読んでいた中年男が言った。
この時、皆の胸中をよぎったことは一つ、
『しまった』
いかん。スッゲーやる気が無い。絶対まずい。
しかし一度入ってしまったものは仕方が無い。とりあえず席に着く。
不安を抱えたままジンギスカンのコースを6人分注文する。
我々は落ち着かない態度で周囲を見渡す。
お世辞にもきれいと言えた店じゃない。
店員はさっきの男の妻だろうか、同じ年頃の女とかなり高齢に見える女がいる。
段々と濃くなる敗色ムードの中、注文していたコースが届いた。
厚切りの羊肉と野菜。ボリュームはかなりのものだ。
軽く焼いて食べてみた。
悶絶するほど美味い。
牛肉よりはるかに美味い。
昼のアラスカ臭いウニより美味い。
焼肉なのにとろけるような食感。
ひつじ独特の獣臭さもまったく感じられない。
しかも一緒に焼いている野菜にも肉のうまみが染み込んで素朴で奥深い味わいになる。
予想外の美味さでペースを乱されたのか、野菜が残っているのに肉を全て食べきってしまう。
そこで肉を6人分追加注文。
しかしかなりの量だ。今度は野菜が全てなくなってしまった。
すかさず玉ねぎ3人分追加注文。
すぐにきた玉ねぎの量はあきらかに3×2人分。
謀ったな、オヤジ…
そう、この時すでに我々は
肉→野菜→肉→野菜→……という永久コンボに捕らえられていたのだ。
しかもその間には「ごはん」と「キムチ」と「ビール」という強力無比なキャンセル可能技が入力される。
午後8時30分。3日分ほど食いだめした我々はようやくホテルに戻った。
たっぷり食ったし昨日の反省を活かして早く寝ることにした。
歯磨きをしようと蛇口をひねる。
あええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………
この日は気絶するように眠りにつけた。
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